2022國學院大学A日程『源氏物語』浮舟「かの人の御気色〜」本文・現代語訳と解説

大学入試古文/源氏物語
2022年 國學院大学A日程

2022年國學院大学A日程『源氏物語』「浮舟」|出題本文全文・現代語訳・語注・品詞分解

2022年國學院大学A日程の国語で出題された『源氏物語』浮舟巻について、出題本文、その本文に対応する現代語訳、語注、品詞分解、敬語、心情の読み取り方を整理します。

宮は匂宮、かの人は薫大将、女君は浮舟です。匂宮が、浮舟の心が薫大将に定まったのではないかと疑い、山里へ向かう場面から始まります。

本文と現代語訳だけを確認したい人にも、國學院大学A日程の過去問として人物関係・敬語・心情表現まで復習したい人にも使いやすいように整理しています。

このページで確認できること

  • 2022年國學院大学A日程で出題された『源氏物語』浮舟巻の本文と現代語訳
  • 宮=匂宮、かの人=薫大将、女君・御前=浮舟という人物関係
  • 匂宮の推測、嫉妬、山里へ向かうまでの心情変化
  • 「思ひ定まりぬるなめり」「聞こえさすべかめる」などの品詞分解
  • 國學院大学A日程の復習で見たい主語判断・敬語・心情説明のポイント

このページが向いている人

  • 國學院大学A日程の古文過去問を復習している人
  • 『源氏物語』「浮舟」の現代語訳を確認したい人
  • 「かの人」「宮」「女君」「御前」などの人物関係でつまずいた人
  • 助動詞や敬語から主語・心情を読み取る練習をしたい人

入試復習として使う場合の読み方

本文や訳だけを確認したい場合は、上の目的別案内から必要な箇所へ進めます。國學院大学A日程の過去問として復習する場合は、本文の内容を確認したあとに、人物関係、心情表現、助動詞・敬語の順に見直すと整理しやすくなります。

本文・現代語訳から確認する

まず出題本文と訳を確認し、場面の流れをつかみたい人向けです。

古文本文から確認する

心情問題の根拠を見る

匂宮の推測、嫉妬、山里へ向かう理由を答案に使いたい人向けです。

人物関係と心情を確認する

文法を補強する

「ぬる」「める」「べかめる」の形が不安な場合は、本文確認後に助動詞を復習できます。

品詞分解を確認する

復習の順番

  1. 前提あらすじで、浮舟・薫大将・匂宮の関係を確認する。
  2. 本文の流れを3段階でつかむ。
  3. 本文と現代語訳で内容を確認する。
  4. 人物関係と心情語句を本文から拾う。
  5. 助動詞と敬語を確認する。
  6. 最後に、記述答案の形で説明できるか確認する。

この場面に入る前のあらすじ

この場面を読むときは、浮舟が置かれている状況を先に確認しておくと、匂宮の行動や侍女たちの対応が読み取りやすくなります。

  • 浮舟は、薫大将によって宇治の山里に置かれている女性です。
  • 薫大将は浮舟に関わる人物で、本文中では「かの人」「かの殿」と呼ばれます。
  • 匂宮も浮舟に強く心を寄せており、本文中では「宮」と呼ばれます。
  • 浮舟は、薫大将と匂宮との間で心を乱している人物として読まれます。

この出題部分では、匂宮が、浮舟からの返事が途絶えたことをきっかけに「浮舟の心が薫大将の方へ傾いたのではないか」と疑います。その疑いと嫉妬が、山里へ向かう行動につながります。

本文の流れを3段階で確認する

本文と現代語訳は長いため、先に大きな流れを押さえると読みやすくなります。細かい語句や助動詞は、本文全体の流れをつかんだあとに確認してください。

1. 浮舟からの返事が途絶える

匂宮は、浮舟が自分の思いを受け入れる様子を見せず、返事まで途絶えがちになったことを気にしています。

2. 匂宮が薫大将の影響を疑う

匂宮は、薫大将が浮舟に言い聞かせ、浮舟の心が薫大将の方へ定まったのではないかと推測します。

3. 山里では侍女たちが面会を避ける

匂宮は山里へ向かいますが、浮舟側の侍女たちは人目や浮舟の立場を気にして、今夜の面会を避けようとします。

『源氏物語』「浮舟」古文本文

2022年國學院大学A日程で出題された部分です。前半では匂宮の推測と心情、後半では浮舟方の侍女たちが来訪を拒もうとする様子が描かれています。

前半:匂宮が山里へ向かうまで

宮、「かくのみ、なほうけひくけしきもなくて、返り事さへ絶え絶えになるは、
かの人の、あるべきさまに言ひしたためて、すこし心やすかるべき方に思ひ定まりぬるなめり、
ことわりと思すものから、いと口惜しくねたく、「さりとも、我をばあはれと思ひたりしものを、
あひ見ぬとだえに、人びとの言ひ知らする方に寄るならむかしなど眺めたまふに、
行く方しらず、むなしき空に満ちぬる心地したまへば、例の、いみじく思し立ちておはしましぬ。

後半:侍女たちが来訪を拒もうとする場面

葦垣の方を見るに、例ならず、「あれは、誰そ」と言ふ声々、いざとげなり。立ち退きて、
心知りの男を入れたれば、それをさへ問ふ。さきざきのけはひにも似ず。わづらはしくて、
「京よりとみの御文あるなり」と言ふ。右近は徒者の名を呼びて会ひたり。いとわづらはしく、
いとどおぼゆ。「さらに、今宵は不用なり。いみじくかたじけなきこと」と言はせたり。
宮、などかくもて離るらむと思すに、わりなくて、「まづ、時方入りて、侍従に会ひて、
さるべきさまにたばかれ」とて遣はす。かどかどしき人にて、とかく言ひ構へて、訪ねて会ひたり。
「いかなるにかあらむ。かの殿ののたまはすることありとて、宿直にある者どもの、
さかしがりだちたるころにて、いとわりなきなり。御前にも、ものをのみいみじく思しためるは、
かかる御ことのかたじけなきを、思し乱るるにこそ、と心苦しくなむ見たてまつる。
さらに、今宵は。人けしき見はべりなば、なかなかにいと悪しかりなむ。やがて、
さも御心づかひせさせたまひつべからむ夜、ここにも人知れず思ひ構へてなむ、
聞こえさすべかめる」。乳母のいざときことなども語る。大夫、「おはします道のおぼろけならず、
あながちなる御けしきに、あへなく聞こえさせむなむ、たいだいしき。さらば、いざ、たまへ。
ともにくはしく聞こえさせたまへ」といざなふ。「いとわりなからむ」と言ひしろふほどに、
夜もいたく更けゆく。

『源氏物語』「浮舟」現代語訳

前半の現代語訳:匂宮の推測と山里へ向かう決意

匂宮は、「浮舟がこのような態度ばかりで、やはり私の思いを受け入れる様子もなく、返事まで途絶えがちになったのは、あの人、つまり薫大将が、そうするのがよいという形に言い聞かせ、浮舟も少しは安心できる方へと心を決めてしまったようだ。それももっともなことだ」とお思いになる一方で、ひどく残念で、しゃくにも感じていらっしゃる。

「そうはいっても、浮舟は私のことを愛しいと思ってくれていたのに、会わずにいる間に、女房たちが言い聞かせる方、つまり薫大将の方へ心を寄せたのであろう」などと物思いに沈んでいらっしゃると、恋心が行き場を失い、何もない空いっぱいに広がってしまうような気持ちになられたので、いつものように激しく決心し、浮舟のいる山里へお出かけになった。

後半の現代語訳:侍女たちの対応と時方の交渉

葦垣の方を見ると、いつもと違って、「あれは誰ですか」と尋ねる声々が聞こえ、皆がすぐに気づいて警戒している様子である。匂宮はいったんその場を離れ、事情を知っている従者を中へ入れたが、その者についてまで誰なのかと尋ねる。以前に訪れたときの様子とはまるで違っていた。

従者は対応に困り、「京から急ぎのお手紙が届いたのです」と言う。右近は、身分の低い従者の名を呼び、その者に会った。右近はひどく面倒なことだと感じ、ますます困惑する。「今夜はまったく都合が悪いのです。宮にお越しいただいたのに、たいへん恐れ多いことです」と伝えさせた。

匂宮は、なぜこのようによそよそしく拒むのだろうとお思いになり、たまらない気持ちになって、「まず時方が中へ入り、侍従に会って、うまく取り計らえ」と命じて送り込む。時方は機転の利く人物なので、あれこれと言葉を工夫し、侍従を捜して会った。

侍従は、「いったいどうしたことでしょう。薫大将から何かお言いつけがあったということで、宿直をしている者たちが気を利かせようとして警戒している時期ですので、どうにもならないのです。浮舟様も、ひどく物思いばかりなさっているようですが、このような宮のご訪問を恐れ多く思い、心を乱していらっしゃるのだろうと、おいたわしく拝見しています。

今夜はどうしても難しいのです。人に気づかれてしまいましたら、かえってたいへん具合の悪いことになるでしょう。浮舟様にも十分にお気遣いいただけるような夜を選び、こちらでも人に知られないように準備したうえで、宮に申し上げることになるでしょう」と言う。さらに、乳母が気づきやすく警戒心の強いことなども話す。

時方は、「宮がここまでお越しになった道のりも並一通りのものではなく、これほど強くお望みになっているのに、簡単にお断り申し上げるのは不都合です。それでは、さあ、あなたもいらっしゃい。一緒に詳しく宮へ申し上げてください」と侍従を誘う。侍従が「それはたいへん困ったことでしょう」と言って互いに言い争っているうちに、夜もすっかり更けていく。

人物関係と場面の読み取り

この場面の人物関係

  • 宮:匂宮。浮舟に強く心を寄せ、山里まで訪ねてくる。
  • かの人・かの殿:薫大将。浮舟を山里に住まわせている。
  • 女君・御前:浮舟。薫大将と匂宮との間で心を乱している。
  • 右近・侍従:浮舟に仕える侍女。
  • 時方・大夫:匂宮に仕える人物。侍従との交渉を任される。
試験 2022年 國學院大学A日程 国語
出典 『源氏物語』浮舟巻
中心人物 匂宮
読解の軸 推測、嫉妬、敬語、人物関係

下の図で確認したいこと:

この場面では、人物名が直接出ず、「宮」「かの人」「御前」などの呼び方で示されます。図を見るときは、匂宮側、薫大将側、浮舟側の立場の違いを意識してください。

源氏物語浮舟の人物関係と読解ポイントのイメージ

人物関係を整理したあとに確認したいこと:

この場面では、人物名だけでなく、敬語表現から主語を判断することも重要です。入試問題では、訳せるだけでなく、誰の心情をどの語句から説明するかまで求められます。

このあとにある読解ポイントでは、匂宮が山里へ向かった理由を、本文の語句から答案化する流れを確認できます。

入試問題としての読解ポイントを確認する

過去問を答案作成まで見直したい場合は、主語・敬語・心情の根拠を使った過去問指導も確認できます。

匂宮はなぜ山里へ向かったのか

匂宮は、浮舟からの返事が途絶えた理由を、薫大将の説得によって浮舟の心が薫の方へ定まったためだと推測しています。理屈では「ことわり」と理解しながらも、感情としては「口惜しくねたく」と感じています。

この理性と感情の食い違いによって恋心が抑えられなくなり、「例の、いみじく思し立ちて」と、いつものように強く決心して山里へ向かいます。

心情問題で根拠にする語句

本文の語句 読み取れる心情 答案にまとめるときの考え方
思ひ定まりぬるなめり 浮舟の心が薫に定まったという推測 事実として断定せず、匂宮がそのように考えていると説明する。
ことわりと思す 浮舟の判断を理屈では理解している 直後の感情表現と対比させる。
口惜しくねたく 残念さ、悔しさ、嫉妬 薫大将に浮舟を奪われる不安と結びつける。
行く方知らず、むなしき空に満ちぬる心地 行き場を失った恋心 古今集を踏まえた表現であり、感情が空いっぱいに広がる感覚と説明する。
例の、いみじく思し立ちて 感情を抑えられず行動する決意 推測から嫉妬、決意へ進む心情の流れの結末として使う。

心情説明の組み立て例:

「ことわり」とあるため、匂宮は浮舟が薫大将側に従うことを理屈では理解しています。

しかし「口惜しくねたく」とあるため、感情としては悔しさや嫉妬を抑えられていません。

その結果、「例の、いみじく思し立ちて」とあるように、感情に動かされて山里へ向かったと説明できます。

後半で侍女たちが匂宮を拒む理由

薫大将側の者たちが警戒しており、匂宮の来訪が知られると、浮舟の立場がさらに悪くなるおそれがあるためです。侍女たちは匂宮を軽んじているのではなく、浮舟を守り、人目を避けるために今夜の面会を断ろうとしています。

後半の会話は誰が誰に話しているか

後半は右近、侍従、時方、大夫などが出てくるため、主語と立場を見失いやすい箇所です。大きく分けると、匂宮側は「なんとか浮舟に会いたい」、浮舟側は「人目を避けて浮舟の立場を守りたい」という対立で読めます。

人物 立場 本文中での役割
右近 浮舟側の侍女 匂宮側の従者に対応し、今夜は都合が悪いと伝えさせる。
侍従 浮舟側の侍女 薫大将側の者たちが警戒していること、人に知られると不都合であることを説明する。
時方・大夫 匂宮側の人物 匂宮の意向を受け、侍従と交渉して、面会を実現しようとする。
宿直にある者ども 薫大将側を意識している周囲の者たち 浮舟の周辺を警戒しており、匂宮の来訪が知られやすい状況を作っている。

後半場面の読み方:

「さらに、今宵は不用なり」は、匂宮そのものを否定する言葉ではなく、事情があって今夜は面会が難しいという説明です。

侍女たちは、匂宮を嫌っているというより、浮舟の立場、人目、薫大将側の警戒を気にして、今夜の対面を避けようとしています。

重要語句・語注

語注は、本文の内容を追うために必要な語を中心に確認します。特に、匂宮の心情に関わる「口惜し」「ねたし」と、後半の対応に関わる「人けしき」「かたじけなし」「たばかれ」は、読解問題でも使いやすい語句です。

語句 意味・読み方
かくのみ このような状態ばかりで。
うけひくけしき 承諾する様子、受け入れる気配。
あるべきさまに そうするのが適切な形に、しかるべき形に。
口惜し 残念だ、期待どおりにならず悔しい。
ねたし しゃくにさわる、悔しい。
いざとげなり すぐに気づき、目を覚ます様子である。
わづらはし 面倒だ、厄介だ、対応に困る。
さらに、今宵は不用なり 今夜はまったく都合が悪い。「さらに」は打消表現を伴い「まったく」の意。
人けしき 人の気配、人に気づかれる様子。後半では、匂宮の来訪が人に知られる危険と関わる。
思し乱るる お心を乱していらっしゃる。浮舟の心の動揺を、敬意を込めて述べる表現。
かたじけなし 恐れ多い、もったいない。高貴な相手への恐縮を表す。
さかしがりだちたる 利口ぶってふるまっている、気を利かせようとしている様子。
たばかれ うまく取り計らえ、工夫して処理せよ。
おぼろけならず 並一通りではない、格別である。
たいだいし 不都合だ、もってのほかだ。

助動詞・敬語・品詞分解

品詞分解で確認したい3箇所

この本文では、助動詞を細かく見ることで、匂宮の推測や侍従側の説明が読み取りやすくなります。特に「なめり」「べかめる」は、語の切れ目を見誤ると訳があいまいになりやすい箇所です。

表を読むときは、まず「誰の判断・推測を表しているのか」を確認してください。助動詞の形だけでなく、本文中で匂宮の推測なのか、侍従側の説明なのかを分けることが大切です。

語句 品詞分解 訳と読解上の注意
思ひ定まりぬるなめり 思ひ定まり(動詞「思ひ定まる」連用形)+ぬる(完了の助動詞「ぬ」連体形)+な(断定の助動詞「なり」連体形「なる」の撥音便無表記)+めり(推定の助動詞) 「心を決めてしまったようだ」。匂宮の推測であり、事実の断定ではない。
聞こえさすべかめる 聞こえさす(謙譲語)+べか(助動詞「べし」連体形「べかる」の撥音便無表記)+める(推定の助動詞「めり」連体形) 「申し上げることになるようだ」「申し上げるつもりであるようだ」。侍従側の今後の取り計らいを示す。
いかなるにかあらむ いかなる(形容動詞「いかなり」連体形)+に(格助詞)+か(係助詞)+あら(ラ変動詞「あり」未然形)+む(推量の助動詞) 「いったいどういうことであろうか」。侍従の発言中の疑問表現。

誤読しやすいポイント

表現 誤読しやすい読み方 確認したい読み方
思ひ定まりぬるなめり 浮舟が実際に薫大将へ心を決めた客観的事実として読む。 匂宮が「そうなったようだ」と推測している表現として読む。
なめり 一語のまま意味をあいまいに処理する。 「なるめり」が縮まった形として、断定の「なり」と推定の「めり」を確認する。
べかめる 「べかめる」を一まとまりにして訳し、助動詞の切れ目を見落とす。 「べかるめり」が縮まった形として、「べし」と「めり」を分けて考える。
さらに、今宵は不用なり 「さらに」を単独で「さらに加えて」と読んでしまう。 打消や否定的な文脈と合わせて、「まったく今夜は都合が悪い」と読む。
ことわりと思す/口惜しくねたく どちらも同じ心情としてまとめてしまう。 前者は理屈での理解、後者は感情としての悔しさ・嫉妬として対比させる。

敬語から主語を判断する

  • 思す・思しためる・おはします・おはしましぬ:匂宮を高める尊敬語。地の文でこれらが使われる箇所は、匂宮を主語として考える手がかりになる。
  • 見たてまつる・聞こえさす:浮舟側や侍女側から、高貴な人物に対して用いられる謙譲表現。
  • せさせたまふ:使役・尊敬が重なった表現。誰の行為を誰が高めているかを文脈から確認する。

「ぬる」「める」「べかめる」の判断を確認したい場合

このページでは本文中の形を確認できます。別の文章でも同じように判断したい場合は、助動詞の活用形と接続をあわせて見直すと、初見問題での読み取りに使いやすくなります。

敬語・助動詞だけを短く補強したい場合

過去問全体ではなく、「敬語の主語判断だけ」「助動詞の識別だけ」のように一つの苦手を絞って確認したい場合は、ワンポイント講座の案内も確認できます。

古文漢文ワンポイント講座を確認する

入試問題としての読解ポイント

國學院大学A日程として見るべきポイント

このページは『源氏物語』の内容理解だけでなく、國學院大学A日程の過去問復習として使うことを想定しています。本文を読むときは、次の観点を本文中の語句と結びつけて確認すると、現代語訳だけで終わらず設問対策につなげやすくなります。

見るべき観点 本文中の手がかり
推測表現を事実として読まない 「思ひ定まりぬるなめり」は、浮舟が実際に心を決めた断定ではなく、匂宮の推測として扱う。
敬語から主語を判断する 「思す」「おはしましぬ」は匂宮を高める表現であり、匂宮を主語として読む手がかりになる。
後半の面会拒否の理由を押さえる 「さらに、今宵は不用なり」は、単なる拒絶ではなく、今夜は事情があって面会が難しいという説明である。
浮舟側の警戒を本文から説明する 「人けしき見はべりなば」は、人に知られると不都合になるという侍女側の警戒を示す。
理性と感情を対比する 「ことわりと思す」と「口惜しくねたく」を分けて、理屈では理解しながら感情では納得できない心情を読む。

主語を人物名に置き換える

「宮」「かの人」「女君」などの呼び方を、そのままにして読み進めると人物関係を見失いやすくなります。最初に、宮は匂宮、かの人は薫大将、女君は浮舟と置き換えてください。

推測と事実を分ける

「思ひ定まりぬるなめり」は、浮舟が実際に薫大将を選んだと断定する表現ではありません。浮舟の返事が途絶えたことから、匂宮がそのように推測している表現です。

理性と感情の対立を読む

匂宮は浮舟の判断を「ことわり」と理解しています。しかし同時に「口惜しくねたく」と感じています。この対立が、匂宮の人物像と、その後の行動を説明する中心になります。

記述答案の組み立て方

問いの例:匂宮が浮舟のもとへ出かけたのはなぜか。

まとめ方:浮舟からの返事が途絶えたため、薫大将の説得によって浮舟の心が薫の方へ定まったのだと推測し、理屈ではもっともだと思いながらも、残念さや嫉妬を抑えられず、浮舟への恋心が募ったから。

この本文で差がつく答案表現

答案では、本文の語句をそのまま並べるだけでなく、心情や状況を分かりやすく言い換えることも大切です。次の表現を使うと、本文の根拠を説明につなげやすくなります。

本文から分かること 答案での言い換え例
ことわりと思す/口惜しくねたく 理屈では理解しているが、感情では納得できていない。
思ひ定まりぬるなめり 浮舟の心が薫に傾いたと、匂宮が推測している。
人けしき見はべりなば 人に知られると、浮舟の立場が悪くなるおそれがある。
さらに、今宵は不用なり 人目を避ける必要があるため、今夜の対面は不都合だと説明している。
例の、いみじく思し立ちて 匂宮が感情を抑えられず、強く決心して行動に移している。

別の入試古文でも、本文訳から根拠読解まで練習したい場合

このページで「本文を訳すだけでなく、設問の根拠まで見る」流れを確認したら、別の入試古文でも同じ読み方を試すと復習しやすくなります。共通テストの比較読解では、『増鏡』と『とはずがたり』をもとに、本文同士の関係や設問の根拠を意識して読む練習ができます。

共通テスト古文の比較読解(増鏡・とはずがたり)を確認する

本文は読めても、設問の根拠を答案にできない場合

現代語訳を確認するだけでは、入試問題の得点に直結しにくいことがあります。主語、敬語、心情表現を本文の根拠として使い、國學院大学などの私大過去問を答案作成まで見直したい場合は、大学受験向けの個別指導が対応します。

私大古文の主語・敬語・心情問題を答案まで確認する

復習チェックリスト

内容理解

  • □ 匂宮が、浮舟からの返事が途絶えた理由をどのように推測したか説明できる。
  • □ 「ことわり」と「口惜しくねたく」の対比を説明できる。
  • □ 侍女たちが今夜の面会を断ろうとした理由を説明できる。
  • □ 匂宮、薫大将、浮舟、侍女、時方の関係を整理できる。
  • □ 後半の会話で、右近・侍従・時方がそれぞれ何をしているか説明できる。

文法・敬語

  • □ 「思ひ定まりぬるなめり」を品詞分解して訳せる。
  • □ 「思す」「おはします」の主語を判断できる。
  • □ 「さらに」が打消表現とともに使われていることを説明できる。
  • □ 「聞こえさすべかめる」を「聞こえさす」+「べか」+「める」に分けられる。

記述対策

  • □ 匂宮が山里へ向かった理由を、本文の語句を根拠に説明できる。
  • □ 「むなしき空」の比喩が表す心情を説明できる。
  • □ 推測と事実を区別して答案を書ける。
  • □ 「理屈では理解しているが、感情では納得できない」という形で心情を説明できる。

チェックできなかった項目がある場合:

助動詞が不安な場合は助動詞活用表助動詞の接続と意味を確認してください。

別の入試古文で練習したい場合は、下の「次に確認する内容を選ぶ」から共通テスト古文の比較読解へ進めます。

答案の作り方まで確認したい場合は、大学受験古文漢文の過去問指導を確認してください。

『源氏物語』「浮舟」のよくある質問

この場面の中心人物は誰ですか。

中心は匂宮です。浮舟本人に関わる場面でもありますが、この出題部分では、浮舟から返事が来なくなったことに対する匂宮の推測、嫉妬、山里へ向かう行動が読解の中心になります。

「宮」とは誰のことですか。

宮は匂宮です。この場面では、浮舟からの返事が途絶えたことをきっかけに、浮舟の心が薫大将へ傾いたのではないかと疑っています。

「かの人」とは誰ですか。

薫大将です。浮舟を山里に住まわせており、匂宮は、浮舟が薫大将側の説得を受け入れたのではないかと疑っています。

「女君」「御前」とは誰のことですか。

どちらも浮舟を指します。本文中では人物名が直接出ないため、「宮」「かの人」「御前」などの呼び方を人物名に置き換えて読む必要があります。

「思ひ定まりぬるなめり」はどのように訳しますか。

「心を決めてしまったようだ」と訳します。完了の助動詞「ぬ」と推定の助動詞「めり」を含み、匂宮の推測を表します。助動詞の形が不安な場合は、本文下部の品詞分解とあわせて、助動詞活用表でも確認できます。

「聞こえさすべかめる」はどのように分けますか。

「聞こえさす」+「べか」+「める」と分けます。「べか」は助動詞「べし」の連体形「べかる」の撥音便無表記で、「める」は推定の助動詞「めり」の連体形です。

匂宮はなぜ浮舟のいる山里へ向かったのですか。

浮舟の心が薫大将に定まったのではないかと不安になり、残念さや嫉妬、浮舟への恋心を抑えられなくなったためです。ただし、浮舟の心が本当に定まったという事実ではなく、匂宮がそのように推測している点に注意が必要です。

「ことわりと思す」と「口惜しくねたく」はどう違いますか。

「ことわりと思す」は、匂宮が理屈では浮舟の判断をもっともだと理解していることを表します。一方、「口惜しくねたく」は、感情としては残念で悔しく、嫉妬していることを表します。この対比が、匂宮の心情説明で重要です。

後半で侍女たちはなぜ匂宮を入れなかったのですか。

薫大将側の者たちが警戒しており、匂宮の来訪が人に知られると浮舟の立場が悪くなるおそれがあったためです。侍女たちは匂宮を軽んじているのではなく、浮舟を守るために今夜の面会を避けようとしています。

匂宮、薫大将、浮舟はどのような関係ですか。

薫大将と匂宮がともに浮舟に思いを寄せています。この場面では、匂宮が浮舟の心が薫大将へ傾いたのではないかと疑っています。

現代語訳は掲載本文のどこまで対応していますか。

匂宮が山里へ出発する前半だけでなく、侍女たちが来訪を拒み、時方と侍従が対応を相談する後半まで対応しています。

このページは学校の定期テスト対策にも使えますか。

本文、現代語訳、語注、助動詞、敬語、人物関係を確認できるため、学校の試験範囲がこの場面に重なる場合は復習に使えます。ただし、学校で扱う本文範囲や注釈が異なる場合は、授業プリントや教科書の指定範囲も確認してください。

本文を読んだあと、何を復習すればよいですか。

助動詞が分かりにくい場合は「ぬ」「めり」「べし」の活用と接続を、読解を深めたい場合は人物関係と敬語の主語判断を、入試対策として使う場合は心情説明の根拠を確認すると復習しやすくなります。

別の入試古文でも練習したい場合は、下の「次に確認する内容を選ぶ」から、助動詞の復習記事や共通テスト古文の読解解説へ進めます。