古典の定期テスト勉強法【高校生向け】暗記に頼らない古文テスト対策5ステップ
古典の定期テスト前になると、「何をどこまで勉強すればいいのか分からない」まま、なんとなく勉強して終わってしまう――。その結果、点数が安定せず、毎回運任せになってしまっている人は少なくありません。
他教科と同じく、古典もテスト前に計画を立てて、やるべきことをはっきりさせた上で学習を進めることが大切です。
古典全般の勉強法については、まずは以下の記事もあわせて参考にしてください。
→ 古典が得意科目になる勉強法
古典の定期テスト勉強、まず意識すべきこと
「誰が出題するか」から逆算する
古典に限らず、定期テストは「その授業をしている先生が作るテスト」です。したがって、最初に意識すべきは次の2点です。
- テストを作るのは「授業担当の先生」
- 先生が授業中に強調しているところ・板書したところは出題候補になりやすい
いわば、「リバースアセンブル(逆算)」するイメージです。
「テスト範囲の中で、先生ならどこを出題したくなるか?」という視点を持つだけでも、勉強の効率は大きく変わります。
教科書ガイド・あんちょこは「ゴール確認」の道具
いわゆる教科書ガイド(あんちょこ)は、学校の先生からは歓迎されにくい面もありますが、実は使い方次第で非常に役に立つ道具です。
- 教科書ガイド=「どこまで理解していれば良いか」を知るためのゴールの見本
- 訳だけ読んで満足してしまう使い方だと、点数は安定しない
- 「この訳になるように、古文のどこをどう読んでいるのか?」を確認しながら使う
よくある失敗は、
- ノートやあんちょこを「入手しただけ」で終わる
- 訳文を丸暗記してその場しのぎでテストを乗り切る
というパターンです。これでは、
- 次の定期テストでまた一から暗記
- 模試や入試の初見の文章にはまったく歯が立たない
という状態になってしまいます。
訳はあくまで「理解のチェック」や「ゴールの確認」であり、それ自体を覚えて終わりではないことを意識しておきましょう。
授業とノートを最大限に活用する
定期テスト対策の最も正攻法は次の通りです。
- 授業をきちんと聞く
- 先生の板書や強調しているポイントを、ノートに整理して残す
- 取り損ねたところは、友達のノートを見せてもらって補う
テスト範囲の文章とノートを照らし合わせ、「先生が意図を持って説明していたところ」を中心に復習することが、結局は一番効率の良い勉強法です。
音読で古文に慣れる:品詞分解しながら読む
音読は「ただ読む」のではなく、考えながら読む
英語と同じく、古文でも音読は有効です。ただし、音読さえしていれば勝手に力がつくわけではありません。
- どこで文が切れるか(ブレスの位置)
- どこが単語の境目か
- どの語がどの語にかかっているか
といった点を意識しながら、頭の中で品詞分解をしつつ音読するのが理想です。
古文と現代語訳をセットで音読する
音読の際は、次のような流れが効果的です。
- 古文を音読する
- 対応する現代語訳も音読する
- 古文と現代語訳を対応させながら、意味を頭の中で結びつける
音読中につっかえる箇所・意味があいまいな箇所が出てきたら、その部分の語句や文法をもう一度確認しましょう。
意味が分からないまま音だけ追っても、学習効果はほとんどありません。
音読のメリット
- 文章の流れやリズムに慣れ、古文独特の言い回しに強くなる
- 語彙・文法と本文のつながりが見え、暗記ではなく理解につながる
- 情景をイメージしながら読むことで、記憶に残りやすくなる
古典の勉強を始めるときは、まず音読からスタートするつもりで取り組んでみてください。
単語を覚える:現古異義語・多義語を中心に
古典単語は「出るところ」が決まっている
古典では、現代ではあまり使わない語や意味のズレた語が頻出します。特に重要なのが、
- 現古異義語:現代語と同じ形だが意味が違う単語
- 多義語:一つの単語に複数の意味があるもの
例えば、「うつくし」は「美しい(beautiful)」という意味だけでなく、「かわいらしい・いとおしい(pretty, cute)」という意味で問われることがよくあります。
高校2年生くらいまでであれば、学校配布の単語帳レベルでまずは 200〜300語程度をしっかり固めるイメージで十分戦えます。
「その単元で出てきた単語」は必ず覚える
定期テスト対策として最低限やるべきなのは、
- テスト範囲の本文に出てきた単語はすべて意味を言えるようにする
- 学校で実施される古文単語テスト(20語・50語など)を毎回きっちり取りきる
ということです。
本文で出てきた単語は、そのあと模試や入試の読解でも繰り返し登場します。
「範囲の単語だけ覚えて、テストが終わったら忘れる」というサイクルから抜け出す意識が大切です。
文章と一緒に単語を覚える
単語帳だけで暗記するのがつらい人は、
- 本文を音読しながら単語の意味を確認する
- 本文のフレーズごと覚えるイメージで暗記する
といった方法がおすすめです。
文脈の中で単語を覚えることで、意味だけでなく用法も自然と身につきます。
古典文法の学習法:特に助動詞を固める
文法は「範囲」と「先生の板書」に注目する
学校や学年によっては、
- 中高一貫校で中2から古典文法を始め、高1で一周終わる
- 「今回の定期テストの文法範囲はここからここまで」と明示される
といった違いがあります。いずれにせよ大事なのは、
- テスト範囲として指定された文法事項(例:助動詞「き・けり・つ・ぬ・たり・り」)
- 先生が授業内で板書してまで説明していた文法ポイント
を、本文中で正しく品詞分解できるようにしておくことです。
特に、次のようなものは「頻出+先生が説明しがち」なので要チェックです。
- 呼応の副詞:「いと〜打消」「あながちに〜打消」など
- 一部の副助詞:「だに・すら・さえ」など
授業で「今回の単元の流れからは少し外れるけれど、これはテストに出すよ」といったニュアンスで説明されたものは、必ずノートを見直して復習しておきましょう。
可能なら、対応する文法問題集の該当問題を事前に一度解いておくと安心です。
助動詞は「意味+活用」を丸ごとマスター
古典文法の中でも、助動詞は入試まで直結する最重要分野です。
定期テストの段階から、
- 助動詞ごとの意味
- 用言につくときの活用形
をセットで覚えていきましょう。
助動詞の活用は、以下のページに印刷して使える表があります。定期テスト対策にもぜひ活用してください。
→ 古典「助動詞の活用」をマスターしよう!
あわせて、歌で覚えるバージョンもあります。暗記が苦手な人はぜひこちらも。
→ 歌で覚える古典の助動詞
読解力をつける:暗記だけで終わらせない
定期テストと入試では「求められる力」が違う
定期テストは、正直なところ古文と現代語訳を暗記してしまえば点数が取れてしまうこともあります。
しかし、入試問題や模試では、完全な初見の文章に取り組む必要があります。
そのため、定期テストに向けて暗記する際も、
- 単語の意味だけでなく、どういう文脈で使われているのか
- 文法事項が文の中でどのような働きをしているのか
まで意識して覚えることが重要です。
主語判定の力をつける
古文は、現代文と比べると主語が省略されがちです。
「この文の主語は誰か?」を判定する力を鍛えると、
- 文の意味が通りやすくなる
- 活用形や助動詞の意味の取り方のチェックにも役立つ
といったメリットがあります。
文法構造を意識しながら問題演習をする
読解力を上げるためには、問題演習の積み重ねが欠かせません。
問題を解いたら、
- 正解・不正解のチェック
- なぜその選択肢が正しいのか・間違っているのかの確認
- 単語・文法・主語判定のどこでつまずいたかの分析
を行いましょう。
「分からなかったところを丁寧に復習する」というプロセスが、次のテストや模試での点数アップにつながります。
文章の背景・古典常識を押さえる
筆者名とタイトルは最低限覚える
古典の文章を読むときは、筆者と作品名(タイトル)をセットで覚えておきましょう。
- 筆者がどの時代の人か(平安・鎌倉・江戸など)
- タイトルから、内容やジャンル(随筆・日記・物語など)をざっくり予測する
といった情報が、本文理解の手がかりになります。
時代背景と古典常識
古典作品は、それぞれの時代の文化・価値観を色濃く反映しています。
- 季節感(季語)
- 貴族社会や身分制度
- 当時の生活習慣・風習
といった古典常識が分かっていると、
- 登場人物の心情の理解
- 和歌の解釈
- 情景描写のイメージ
が一気にしやすくなります。
文章の背景情報を意識しながら読むことで、単なる「訳の暗記」ではない、豊かな読解ができるようになります。
定期テストに向けた学習の流れ(おすすめステップ)
定期テスト前の学習は、次のような流れで進めると整理しやすくなります。
- 授業ノートと教科書を見直す
・先生が強調していた箇所・板書の内容をチェック - 本文の音読+現代語訳の確認
・意味のあいまいな部分を洗い出し、単語・文法を再確認 - 単語の暗記
・その範囲で出てきた単語+単語テスト範囲を仕上げる - 文法(特に助動詞)の整理
・活用表・例文を使って、意味と形をセットで覚える - 演習+復習
・学校のプリントや問題集の該当部分を解いて、間違えた問題を重点的に復習
まとめ:暗記に頼りすぎず、「理解」で戦える科目にしよう
- 古典の定期テストは、授業・ノート・教科書ガイドを上手に使った「逆算学習」がカギ。
- 音読は、字面を追うだけでなく、品詞分解や意味を考えながら行うことで効果が出る。
- 単語は、現古異義語・多義語を中心に、本文とセットで覚えると定着しやすい。
- 文法、とくに助動詞は定期テストだけでなく入試まで続く最重要分野。
- 定期テストでは訳暗記だけでも点は取れるが、初見の文章に対応するには「理解」と「主語判定」の力が不可欠。
- 筆者・作品名・時代背景・古典常識を押さえることで、古典の世界がぐっと立体的に見えてくる。
定期テストは、古典を「暗記科目」で終わらせるか、「得点源」に変えていくかの分かれ道でもあります。
音読・単語・文法・読解・背景知識の5本柱を意識して勉強を積み重ねていけば、模試や入試の初見文にも対応できる本物の読解力が身についていきます。
今回ご紹介したポイントを参考に、次の定期テストから少しずつ取り入れてみてください。


