東下り「京にはあらじ」本文・現代語訳・品詞分解(伊勢物語)

高校古文/伊勢物語
東下り「京にはあらじ」

伊勢物語東下り|現代語訳と品詞分解

『伊勢物語』東下り冒頭の本文・現代語訳・品詞分解をすぐ確認できるように整理しています。まずは「京にはあらじ」の意味と語句の要点を押さえてから、本文と読解ポイントへ進んでください。

この場面では、男が自分を「えうなきもの」と思い、京を離れて東へ向かいます。現代語訳だけで終えず、主語・心情・助動詞・和歌へ向かう情景までつなげて読むことが大切です。

学校の定期試験で、伊勢物語の本文解釈・助動詞・品詞分解・和歌の確認までまとめて整理したい場合は、中高一貫校の古文漢文定期試験対策の全体像はこちらをご覧ください。

東下りの本文を授業復習につなげたい場合

『伊勢物語』東下りは、現代語訳だけを確認して終えると、定期試験で問われる主語・心情・助動詞・語句が本文の中で結びつきにくくなります。

特に「京にはあらじ」は、ありの未然形+じという文法だけでなく、男が都を離れようとする心情まで読めるかが大切です。

作品全体の背景や他の古文常識を合わせて確認したい場合は、関連する古典常識ページで補い、学校教材に合わせて本文を読みたい場合は定期試験対策で確認すると役割を分けやすくなります。

先に確認したい要点

「京にはあらじ」は、あり+じで、基本は「京には住むまい」「京にはいないだろう」と押さえます。本文では、都を離れる決意が前面に出るため、まずは打消意志として読むとつかみやすい表現です。

語句 品詞分解 意味 本文での押さえ方
京にはあらじ あり(ラ変)未然形あら+助動詞 ~するまい/~ないだろう 都を離れる決意として読む
えうなき 形容詞 用なし・無用だ 自分を価値のないものと思い込む表現
くもで 名詞 蜘蛛の足のように分かれた形 八橋の地形を視覚的に示す語
かれいひ 名詞 乾飯、干した飯 旅の質素さを示す小道具
  • 「あら」はありの未然形です。
  • 「じ」は未然形接続で、打消意志・打消推量を表します。
  • この場面は、男が京を離れて東へ向かう流れなので、まずは打消意志で取ると読みやすくなります。

要点を読んでも本文で使いにくい場合

語句表だけなら分かっても、本文に戻ったときに誰の心情かどの語が決意を表しているか助動詞をどう訳へ反映するかでつまずくことがあります。

『伊勢物語』は一文が短く見えても、主語が省かれ、心情が直接書かれないことが多いため、語句・品詞分解・現代語訳をばらばらに覚えるだけでは読解につながりにくくなります。

「京にはあらじ」から男の心情まで説明できるようにしたい場合は、東下りの必要箇所だけを個別に確認したい場合はこちらも使いやすいです。

目次から読むときの使い分け

現代語訳を急いで確認したい場合は、本文と訳を先に見比べてください。定期試験に備える場合は、訳だけでなく語句・文法のポイント読解のポイントまで続けて確認すると、答案で説明しやすくなります。

特に、主語が省かれる古文では「誰がどう思っているのか」を補いながら読む必要があります。『伊勢物語』の本文を学校の授業に合わせて読み直したい場合は、古文読解の個別指導で本文ごとに確認する方法もあります。

学校の試験範囲に合わせて伊勢物語を確認したい場合はこちら

『伊勢物語』東下り「京にはあらじ」本文(古文)

【本文】

むかし、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、あづまの方にすむべき国もとめにとてゆきけり。もとより友とする人、ひとりふたりしていきけり。道しれる人もなくて、まどひいきけり。三河の国八橋といふ所にいたりぬ。そこを八橋といひけるは、水ゆく河のくもでなれば、橋を八つわたせるによりてなむ、八橋といひける。その沢のほとりの木のかげにおりゐて、かれいひ食ひけり。その沢にかきつばたいとおもしろく咲きたり。

(注)三河の国=現在の愛知県。

『伊勢物語』東下り「京にはあらじ」現代語訳

【現代語訳】

昔、男がいた。その男は、自分の身を無用なものと思い込んで、「京にはいるまい」と、東国の方に住むのにふさわしい国を探そうとして出かけて行った。もともと友人であった人が、一人二人といっしょに行った。道を知っている人もいなくて、道も分からないまま進んで行った。三河の国の八橋という所に着いた。そこを八橋といったのは、水の流れる川が蜘蛛の足のように分かれているので、橋を八つ渡してあることによって、八橋といったのである。その沢のほとりの木陰に下りて座って、乾飯を食べた。その沢には、かきつばたがたいそう趣深く咲いていた。

訳の次に確認したいこと

現代語訳を見て意味が分かったら、次は本文中のどの語がその訳に対応しているかを確認します。特に「京にはあらじ」は、単に「京にいない」と訳すだけでなく、都を離れる心情まで含めて読むことが大切です。

語句・文法のポイント

『伊勢物語』東下りの冒頭には、定期試験でも入試でも確認されやすい語句と文法がまとまっています。本文を読む前後で、ここだけは押さえておきたい点を整理します。

重要語句の意味

  • 身をえうなきものに思ひなして
    「えうなき」は「用なし」で、役に立たない・無用だという意味です。「思ひなす」は、そのように思い込むことを表します。つまり、男が自分を価値のない者だと思い込んでいることが分かります。
  • 京にはあらじ
    「あり」の未然形「あら」+助動詞「じ」です。本文では「京には住むまい」と読むのが自然で、都を離れる決意が表れています。
  • あづまの方にすむべき国
    「べき」は助動詞「べし」の連体形で、ここでは「ふさわしい」「適当な」と取ります。住むのに向いた土地を探している、という意味です。
  • くもで
    蜘蛛の足のように、細かく枝分かれした形を表します。川筋が分かれている八橋の地形説明に使われています。
  • かれいひ
    乾飯、干した飯のことです。旅先で食べる保存食で、都を離れた旅の現実味を感じさせます。
  • かきつばたいとおもしろく咲きたり
    「おもしろし」は、ただ美しいというより、趣があって心を引かれる感じです。後の和歌につながる大事な景物です。

文法の確認


  • 未然形に接続し、打消意志・打消推量を表します。この場面では、男自身の方向がはっきりしているため、「京には住むまい」という打消意志として読むのが基本です。
  • べし
    多義語ですが、「住むべき国」は「住むのにふさわしい国」と取るのが自然です。文脈から意味を絞る練習に向いています。
  • 思ひなして
    「思ひなす」の連用形+接続助詞「て」です。「そのように決めつけて」という含みがあります。
  • いたりぬ・咲きたり
    「ぬ」「たり」は、完了や存続を表します。到着したこと、咲いている状態を落ち着いて述べています。

品詞分解のあとに読解へ進むために

品詞分解は、語を細かく分けること自体が目的ではありません。「あらじ」を分解したら、なぜ男が「京にはいるまい」と考えるのかまで本文に戻して読むことで、定期試験の説明問題にもつながります。

読解のポイント

1. 「京」と「あづま」の対比を押さえる

  • 男は「身をえうなきもの」と思い込み、「京にはあらじ」と都を離れようとします。
  • それに対して「あづま」は、新しい居場所を求める先として示されています。
  • 読解では、都を離れる理由東へ向かう意味がつながっていることを押さえると読みやすくなります。

2. 冒頭一文で主人公の心情をつかむ

  • 「身をえうなきものに思ひなして」は、単なる移動ではなく、自己否定を抱えた出発であることを示します。
  • その直後に「京にはあらじ」と続くため、この旅立ちは軽い気分転換ではなく、都を離れる強い気持ちを伴っています。
  • 本文に事情の詳細までは書かれていないので、理由を一つに決めつけすぎないことも大切です。

3. 道中描写にも注目する

  • 「道しれる人もなくて、まどひいきけり」は、文字通りには道が分からずに進んでいる場面です。
  • 同時に、人生の行き先を見失っているような不安も重なって読めます。
  • こうした描写は、後の情景や和歌へ向かう流れの下地になります。

4. 八橋とかきつばたは和歌への入口

  • 八橋の地形説明は、場面の具体性を高めるだけでなく、印象的な風景を立ち上げています。
  • 「かきつばたいとおもしろく咲きたり」は、このあと続く和歌へ自然につながる導入です。
  • 本文だけを覚えるのではなく、景物と心情のつながりまで見ておくと理解が安定します。

授業・テストでの位置づけ
扱われ方 高校の古文教材でよく扱われる『伊勢物語』東下りの冒頭です。
確認されやすい点 「京にはあらじ」の解釈、えうなきの意味、八橋の情景、後の和歌へのつながり。
読みの軸 都を離れる心情と、東へ向かう流れをどう読むかが土台になります。

まず本文と現代語訳を押さえ、そのあとで語句・文法・読解の順に確認すると、授業復習にも定期試験対策にも使いやすくなります。

復習チェックリスト

内容理解チェック

  • [ ] 「身をえうなきものに思ひなして」がどんな心情か説明できる。
  • [ ] 「京にはあらじ」が都を離れる決意を表すことを説明できる。
  • [ ] 八橋の地形説明を、自分の言葉で言い換えられる。
  • [ ] かきつばたの描写が後の和歌につながることを押さえている。

語句・文法チェック

  • [ ] 「えうなき」「くもで」「かれいひ」「おもしろく」の意味を答えられる。
  • [ ] 「あら」が「あり」の未然形であると分かる。
  • [ ] 助動詞「じ」を打消意志として説明できる。
  • [ ] 「べき」を文脈から「ふさわしい」と取れる。

復習の進め方

  • [ ] 現代語訳を隠して、自力で訳し直した。
  • [ ] 音読しながら、意味の切れ目を確認した。
  • [ ] 語句だけでなく、心情の流れまでまとめ直した。
  • [ ] 続きの場面や和歌部分とつなげて読んだ。

復習でつまずきやすいところが毎回同じ場合は、本文だけを読み返すより、助動詞・語句・心情把握のどこで不安定になっているかを分けて見るほうが進めやすくなります。

  • 助動詞判断でつまずく → 活用表と本文を行き来して確認する
  • 心情の流れがつかめない → 冒頭一文と八橋到着後の描写を結び直す
  • 学校の試験範囲に合わせて整理したい → 本文単位での確認に絞る

学校教材や定期試験範囲に合わせて『伊勢物語』を読める形まで整理したい場合は、語句・助動詞・心情把握を分けて確認すると進めやすくなります。

このあと確認しやすい関連ページと学習先

『伊勢物語』東下りは、本文・現代語訳・品詞分解を確認したあと、助動詞和歌へ向かう情景を合わせて読むと、定期試験で説明しやすくなります。

自分で復習する場合は関連MCで助動詞や活用を確認し、学校教材に合わせて本文を読み込みたい場合は定期試験対策やスポット個別指導を使うと目的が分かれます。