有明の月の意味と時間帯|古文の月名・満ち欠け早見【古典常識】
有明の月とは?古文の月の呼び名と見える時間

有明の月とは、夜が明けても空に残っている月のことです。月末に近い欠けた月を指すことが多く、古文や和歌では、明け方の空に白く見える月として登場します。
古文は旧暦を前提としているため、月の呼び名から月齢や日付の目安を考えられます。さらに、月が東に見えるのか、西に沈もうとしているのかを確かめると、場面が夕方・夜半・明け方のどこなのかを判断しやすくなります。
※表に記載した時刻は、月の動きを理解するためのおおよその目安です。実際の見え方や時刻は季節などによって異なります。
有明の月だけ先に確認
- どのような月?
- 夜が明けても空に残っている、月末に近いころの欠けた月です。
- いつごろ見える?
- 明け方から朝にかけて見えます。朝の明るい空では、白く、または青白く見えます。
- 古文では何が分かる?
- 有明の月が描かれていれば、場面が明け方や早朝であると判断する手がかりになります。
動画で月の満ち欠けと呼び名を確認する
次の動画では、朔、三日月、望月、十六夜、有明月などの呼び名と、旧暦の日付や月の出る時刻との関係を対話形式で解説しています。先に一覧表で確認したい方は、動画を飛ばして次へ進めます。
月の呼び名をまとめて確認したい場合は、次の表をご覧ください。スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 呼び名 | 旧暦の目安 | 月の形 | 見える時間帯(昇る→南中→沈むの目安) | 古文読解の手がかり |
|---|---|---|---|---|
| 朔(さく/ついたち) | 1日ごろ | 新月(欠けて見えない) | 太陽とほぼ同じ動きをするため、基本的には見えない | 月が見えない描写では、朔や晦の可能性を考える |
| 三日月 | 3日前後 | 細い月 | 昇る9時→南中15時→沈む21時(夕方から夜に見えやすい) | 夕方の西空に細い月があれば、三日月が候補になる |
| 上弦の月 (上弓張月) |
7日ごろ | 半月 | 昇る12時→南中18時→沈む0時(夕方から深夜に見えやすい) | 夕方に高い位置に見える半月なら、上弦を考える |
| 望月(もちづき) | 15日ごろ | 満月 | 昇る18時→南中0時→沈む6時(夜通し見える) | 夜通し月が見える場面では、まず望月を考える |
| 十六夜(いざよひ) | 16日ごろ | 満月の翌日(少し欠け始める) | 望月より月の出が遅い(目安:昇る19時前後) | 「いざよう」はためらうという意味。出が少し遅い月と捉える |
| 立待月 | 17日ごろ | 欠け始めた月 | 月の出がさらに遅い(目安:昇る20時前後) | 立ったまま月の出を待つという呼び名 |
| 居待月 | 18日ごろ | 欠けていく月 | さらに遅い(目安:昇る21時前後) | 座って月の出を待つという呼び名 |
| 寝待月 (臥待月) |
19日ごろ | 欠けていく月 | かなり遅い(目安:昇る22時前後) | 横になって月の出を待つという呼び名 |
| 有明月(ありあけづき) | 月末寄り(下弦以降から晦日前) | 明け方に残る欠けた月 | 昇る3時→南中9時→沈む15時 (朝になっても空に残りやすい) |
夜明け後も空に残る月。明るい空では白く、または青白く見える |
| 三十日月 (晦日の月) |
30日(晦日) | ほぼ新月(見えにくい) | 基本的には見えにくい、または見えない | 「月が籠る」というイメージから、月籠り、晦と結び付ける |
月の位置や時刻を続けて確認する
表から月が見える時間帯を確認したら、古文特有の時刻表現や方角もあわせて押さえると、「東に見える」「西に沈む」といった描写を読みやすくなります。
古文本文へ戻す3つの手順
- 月の呼び名から、旧暦の日付と月の形を考える。
- 「昇る・高い・沈む」「東・西」など、月の位置を表す言葉を探す。
- 夕方・夜半・明け方のどこに当たるかを考え、設問の時刻や場面に戻る。
有明の月についてのFAQ
有明の月が白く見えるのはなぜですか?
夜が明けて空が明るくなってからも見えているため、夜空で見る月とは印象が異なり、白く、または青白く見えます。和歌では、その白さから雪などに見立てられることもあります。
古文に出てくる「月」は必ず満月ですか?
必ずしも満月ではありません。十六夜、立待月、居待月、有明月などの呼び名があれば、旧暦の日付や月の形を絞り込めます。単に「月」と書かれている場合も、本文の日付や月が見える位置を手がかりに考えます。
「月が東に見える」「月が西に沈む」から、どのように時刻を判断しますか?
まず、その月が夕方・夜半・明け方のどの時間帯に見える月なのかを確認します。そのうえで、東に見えるなら昇り始め、西に見えるなら沈む前、高い位置にあるなら南中付近と考えます。月の呼び名、位置、本文中の時刻表現を組み合わせることが大切です。
ここからは月名と時刻判断を詳しく解説します
早見表の内容をさらに理解したい方に向けて、旧暦と月齢の関係、十六夜から有明月までの呼び名、月の位置から時刻を判断する方法を対話形式で説明します。『竹取物語』に見られる月の捉え方は、最後の補足解説から確認できます。
旧暦の日付と月の満ち欠けの関係
夏井代表:今回は、月について確認します。月は満ち欠けするものですが、こちらは何を表しているのでしょうか?

岡部:これは、月が満月から新月へと変化し、再び満ちていく流れを表しています。近代以前の暦では、毎月一日を「朔」といいます。「ついたち」は「月立ち」に由来する言葉で、月が新しく始まる日です。また、月が欠けて見えない状態を「朔(さく)」といいます。
十五日ごろになると月が満ちます。この月を「望月」といいます。月が欠けたり満ちたりする天体の動きを「朔望」と呼びます。古文を読むときは、月の満ち欠けと旧暦の日付が結び付いていることを理解しておくことが大切です。
三日月・上弦の月・望月
三日月の「みか」は三日を表します。朔から数えて三日前後に見える月なので、三日月と呼ばれます。
さらに日が進むと、七日ごろに上弦の月が現れます。古文では「上弓張月」と呼ばれることもあります。「弦」は、円の二点を結ぶ直線部分を指す言葉です。

月の真っすぐに見える部分が弦、曲線部分が弧です。弦の部分が上を向いて見える月が上弦の月です。反対側の半月は、下弦の月と呼ばれます。
十五日ごろの満月は、望月と呼ばれます。望月を過ぎると、月の出る時刻が少しずつ遅くなり、それぞれの月に特徴的な呼び名が付けられています。
十六夜から有明月までの呼び名
十六夜は「ためらうように遅れて出る月」
十六日の月は「十六夜月」といいます。「いざよう」は、ためらうという意味の動詞です。十五日の望月よりも月の出が遅くなるため、月が出ようか出まいかとためらっているように見立てて、十六夜と呼ばれます。
立待月・居待月・寝待月
十七日、十八日、十九日の月にも、それぞれ名前があります。十七日の月は立待月です。望月を過ぎると、月の出は日ごとに遅くなっていきます。
最初のうちは、立ったまま月の出を待てるため「立待月」と呼ばれます。さらに遅くなる十八日ごろの月は、座って待つという意味で「居待月」です。十九日ごろになると、横になって待つほど遅くなることから、「寝待月」または「臥待月」と呼ばれます。
有明月は夜明け後も残る月
日が進むと下弦の月となり、月末に近づくにつれて月の出は明け方に近くなります。
冬の朝などに、朝8時や9時ごろになっても、太陽と反対側の空に白い月が残っていることがあります。このように、夜が明けても空に残る月を「有明月」といいます。
有明月は、明るい空の中で白く、または青白く見えます。そのため和歌では、月を雪に見立てるなど、見立ての表現に用いられることがあります。
晦日と大の月・小の月
三十日は「晦日」です。月が隠れ、籠ってしまうという「月籠り」のイメージから、「晦」という言葉に結び付けて説明されることもあります。
月が満ち欠けして元の状態に戻るまでには約29.5日かかります。そのため、旧暦には29日までの月と30日までの月があり、それぞれ「小の月」「大の月」と呼ばれます。
月の呼び名を設問で使える知識にしたい方へ
十六夜、立待月、居待月、有明月という順序を覚えるだけでなく、それぞれの月が何時ごろ、どの方角に見えるのかまで結び付けると、古文の時刻問題や情景問題に対応しやすくなります。
上弦の月と下弦の月の由来
夏井:上弦と下弦がありますが、なぜ「上」と「下」と呼ぶのでしょうか?
岡部:「旬」は十日間を表します。一日から十日までが上旬、十一日から二十日までが中旬、二十一日から三十日までが下旬です。
七日ごろに生じる月の形は上旬に現れるため、上弓張月と呼ばれます。同じように、下旬の二十一日前後に現れる半月が下弓張月です。そこから上弦の月、下弦の月と呼ぶという説明があります。
月の満ち欠けは、小学校や中学校の理科でも学習する内容です。しかし、古文ではこの知識が、場面の時刻や方角を答える問題に使われます。物語の冒頭などで日付が示され、その後に月が見えたと書かれていれば、月がどの方向に見えるのか、何時ごろなのかを考えられます。
月の位置から古文の時刻を判断する方法
朔と晦日は月が見えにくい
朔や晦日に当たる一日、三十日ごろは、新月に近いため月が見えません。太陽とほぼ同じ時刻に昇り、太陽とほぼ同じ時刻に沈むため、明るい空の中では見えにくいからです。
三日月は夕方の西空に見える
三日月は朝9時ごろに昇り、15時ごろに南中し、21時ごろに沈むと考えます。空が暗くなり始める夕方から、月が沈むまでの間、西の空に見えやすい月です。
上弦の月と望月が見える時刻
上弦の月は、昼の12時ごろに昇り、18時ごろに南中し、夜中の0時ごろに沈みます。そのため、夕方から深夜にかけて見えます。
望月は、18時ごろに昇り、夜中の0時ごろに南中し、朝6時ごろに沈みます。夜通し見える月です。
十六夜以降は月の出が遅くなる
望月を過ぎると、月の出は少しずつ遅くなります。十六夜、立待月、居待月、寝待月という呼び名は、月の出が日ごとに遅くなることを表しています。
下弦の月と有明月は明け方に見える
下弦の月は、夜中の0時ごろに昇り、朝6時ごろに南中します。明け方には高い位置にあり、その後は西の空へ移っていきますが、太陽が昇ると見えにくくなります。
有明月は明け方近くに昇り、朝になっても空に残ります。明るい空の中に白く、または青白く見えることから、古文や和歌の情景を考える手がかりになります。
補足:古文では月の顔を見ることを避けたのか
現代では、月を美しいものとして眺めたいと感じることが多いでしょう。しかし、古文の世界では、月そのものが常に鑑賞の対象だったとは限りません。特に、月の表面や月の顔をじっと見ることは、好ましい行為ではないと考えられる場合があったようです。
古文作品では、月の光や月がつくる情景は数多く描かれます。一方、月の表面や顔について具体的に述べた作品は、それほど多くありません。その考え方が表れている例として、『竹取物語』の場面があります。
『竹取物語』の「月の顔見るは、忌むこと」
高校の授業などで扱われることもある箇所です。春の初めごろ、かぐや姫は、趣深く昇る月を見て、いつもより物思いに沈んでいるように見えます。
周囲の人が「月の顔を見ることは避けるべきだ」と制止しますが、かぐや姫は人がいないときに月を見て、ひどく泣きます。かぐや姫が月へ帰らなければならない時期の場面です。
この場面で重要なのは、「月の顔を見ることは忌むことだ」と周囲の人が制している点です。月の光や月のある情景は和歌でも趣深いものとして扱われますが、月の表面をじっと見ることは、必ずしも好ましい行為とは考えられていなかったことが分かります。
月の知識を古文読解で使うためのまとめ
古文に出てくる月は、単に美しい情景をつくるだけではありません。月の呼び名、旧暦の日付、月の形、見える位置を組み合わせると、場面の時刻や登場人物の置かれた状況を判断できます。
- 有明の月は、夜が明けても空に残る月
- 望月は十五日ごろの満月で、夜通し見える
- 十六夜以降は、日が進むにつれて月の出が遅くなる
- 東に見える月は昇り始め、西に見える月は沈む前である可能性が高い
- 月の呼び名と位置を、夕方・夜半・明け方の時間帯に結び付ける
月の名称だけを暗記するのではなく、本文中の日付、方角、時刻表現と組み合わせて考えることが、古文読解で知識を使うためのポイントです。
月と一緒に確認したい古典常識・学習記事
十二支の時刻を確認する
子の刻、丑の刻、丑三つ時などが、現在のおよそ何時に当たるのかを一覧で確認できます。月から読み取った時間帯を、古文の時刻表現に結び付けたい場合に役立ちます。
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