古典常識「方角」

今日は古典と方角についてお話をします。
皆さんご存知の通り、十二支という言葉があります。
十二支というのは色んな使い方をする事が出来ます。
方角であるとか時刻であるとか、あるいは日付、あるいはそれこそ一番身近なのは年です。
今年は例えば戌年だとか、今年は卯年だとかっていう言い方をしますが、
あれもやはり十二支で年を表しています。

十二支の方角

今日これからお話しするのは、十二支が方角を表す場合という事です。


方角については、北から子・丑・寅・卯と時計回りに順繰りに配置していきます。
そうすると、北が子の方角、南は午の方角になります。
地球儀に、北から南に向かって引く線を子午線と言いますが、
子の方角から午の方角に線を引いたから子午線な訳です。
もちろん、東は卯の方角、西が酉の方角という事になります。
さて、牛の方角というのは90°を3で割ったので30°の方角という事になりますが、
日常生活で30°の方角に向かって、あるいは軍隊の世界だと一時の方向に向かって
という言い方は使うでしょうが、日常生活で30°とか一時の方向というのは
現在どころか古文の世界でもやはり使いづらかった訳です。
という事で、子の方角と卯の方角のちょうど間、45°方角、現代では北東です。
ここの事を艮の方角(うしとらのほうがく)と言います。
こちらの字、良いという字の上の点が付かないもの、「こん」と読むんですが、
これで「うしとら」と読みます。
別に書ける必要は全くないですが、読めるぐらいにはして下さい。
二文字で丑寅と書いても良いですし、
艮と書いてうしとらと読んでも良いんですが、こちらが45°の方角です。
次に辰巳の方角です。
南西の方角でしょうが、巽(そん)という字を書いてたつみです。
もちろん二文字で辰巳でも結構です。
未申が坤(こん)です。
乾(けん)の字を書いて乾の方角です。
よくお城の門で乾門とか巽門とかという
名前が付いている門がありますが、この方角から来ています。
東京の地名にもあります。
新木場の手前に辰巳という駅があります。
あれは江戸城から見て辰巳の方角にあるからという事になります。
こうした十二支の考え方というのは現代にも凄く強い影響を与えています。
例えば丑寅の方角というのは鬼門と言われたりします。
鬼が入ってくる門という事で鬼門だと言います。
現代科学的に言い換えるならば、
これは東北方面ですからバイ菌雑菌が繁殖しやすい暗くてジメジメしている所、
病原体がやってくる方向だという事です。
ともあれ丑寅の方向を鬼門と呼んだりします。
我々の現代の鬼のイメージというのと深くこれが結びついているという事をお気付きでしょうか?
頭の中で鬼をイメージしてみて下さい。
牛の角を生やして虎縞のパンツを履いていませんか?
これが丑寅という事です。
ここから先は話半分に聞いて頂きたい所ですが、
丑寅の方向からやってくる鬼を退治する為に桃太郎はどうしたか?というお話です。
未と申、反対側の力を連れて行こうとする訳ですけど未が日本にいませんので、
代わりに申と酉と戌、猿雉犬を連れて行ったって言うんですが、ちょっとあまりにも出来過ぎているんで話半分で聞いて頂きたい所です。
ですが、こうやって十二支というのは現代とも深く結びついています。
現代人のものの考え方にも強く影響を与えているという事を踏まえて古文を読んで頂ければと思います。

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