古典常識「時刻」

 

古典常識/十二支の時刻
古典読解のための基礎知識

十二支(子・丑・寅・卯…)は「年」や「方角」だけでなく、時刻も表します。
古文や漢文では、「未の刻」「丑三つ時」といった表現が頻出です。
本ページでは、十二支と時刻の対応・2時間刻みの考え方・丑三つ時の意味を整理し、
古典の文章を読み解くうえで役立つ基礎知識としてまとめていきます。

動画で学ぶ:十二支の時刻の考え方

古典専門塾かきつばた講師・岡部が、十二支と時刻の関係を図を使いながら解説しています。
本文とあわせて視聴することで、「時刻表現がイメージとして頭に残る」状態を目指しましょう。

1. 十二支は「年・方角・時刻」を表すマルチプレーヤー

十二支というと、多くの人がまず干支の「◯年」を思い浮かべるはずです。
例えば、卯年・戌年といった表し方ですね。

  • 年を表す: 卯年・戌年など
  • 方角を表す: 子の方角=北/卯の方角=東 など
  • 時刻を表す: 子の刻・丑の刻・寅の刻…

このページでは、このうち「時刻」にフォーカスします。
十二支がどのように一日の時間と対応しているのかを整理していきましょう。

十二支を用いた時刻の円形図。子、丑、寅などの時刻が時計のように配置され、それぞれが2時間を表している。

上の図のように、十二支は時計のように円形に並び、
一つの干支が2時間分の時刻を担当します。
子の刻を中心に一周すると、ちょうど24時間が埋まるイメージです。

2. 十二支の時刻の基本──1つの刻は「2時間」を表す

十二支で時刻を表すときは、子の刻を0時(真夜中)としてスタートし、
子 → 丑 → 寅 → 卯 …と時計回りに進むと、24時間で一周します。

十二支 中心となる時刻 おおよその時間帯(2時間)
子(ね) 0時 前日の23時〜当日の1時
丑(うし) 2時 1時〜3時
寅(とら) 4時 3時〜5時
卯(う) 6時 5時〜7時
午(うま) 12時 11時〜13時
未(ひつじ) 14時 13時〜15時

基本的な考え方は、「ある干支の刻 = その中心の時刻をはさむ前後2時間」です。
ただし大学入試などでは、次のような答え方が求められることが多いです。

正午・午前・午後の由来

午の刻はちょうどお昼の12時にあたります。
そのため、12時ちょうどを「正午」と言い、
そこから発生したのが現代でも使う「午前」「午後」という言い方です。

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3. 2時間刻みでも不便? 時刻をさらに細かく分ける工夫

近代的な時計が発明される前、人々の時間感覚は今よりもずっと「ざっくり」していました。
現代文の文章でも、時計の発明と近代的時間感覚の関係が扱われることがあります。

とはいえ、いくらのんびりしていた時代でも、
「未の刻に渋谷で待ち合わせね」と言われて前後2時間ずっと待ち続けるのはさすがに不便です。
そこで古文の世界では、1つの刻(2時間)をさらに4つに分ける考え方が使われました。

呼び方 意味・位置づけ イメージ
一つ時 その刻(2時間)の最初の区切り スタート〜約30分
二つ時 2番目の区切り 約30分〜1時間
三つ時 3番目の区切り 約1時間〜1時間半
四つ時 4番目の区切り(終わりに近い) 約1時間半〜2時間

このように、一つ・二つ・三つ・四つと細かく区切ることで、
「未の刻の三つ時」といった形で、より具体的な時間帯を示せるようにしていたのです。

4. 「丑三つ時」とはいつのこと?

十二支と時刻の話でよく出てくるのが、「草木も眠る丑三つ時」という有名な言い回しです。
丑の刻(1時〜3時の2時間)をさらに4分割したうちの「三つ時」が、
一般に丑三つ時と呼ばれます。

「草木も眠る丑三つ時に幽霊が出る」とよく言われますが、もし枕元に幽霊が来たのが3時や4時だったら──
「それはもう丑三つ時を過ぎているので遅刻です」と追い返してしまって構いません(笑)

こうしたユーモラスなエピソードも交えながら、丑三つ時=午前2時〜2時半というイメージを
しっかり頭に入れておくと、古文・漢文の読解で役立ちます。

5. まとめ:十二支の時刻を理解して古典の世界観をつかむ

十二支の時刻表現は、一見ややこしく感じられるかもしれませんが、
基本さえ押さえてしまえば古典の文章世界がぐっと立体的に見えるようになります。

  • 十二支は「年・方角・時刻」の3つを表せる多機能な記号である
  • 子の刻=0時を基準に、各干支が2時間ずつ一日の時間を担当する
  • 午の刻は12時であり、ここから「正午」「午前」「午後」といった言葉が生まれた
  • 一つの刻をさらに一つ・二つ・三つ・四つに分け、より細かな時刻を表す
  • 丑三つ時=午前2時〜2時半を指し、「草木も眠る丑三つ時」としてよく知られている

十二支の時刻表現を「なんとなく」ではなく、具体的な時刻イメージと結びつけて覚えておくと、
古典作品の場面設定や登場人物の行動の「時間帯」がはっきり見えてきます。
ぜひ、日常生活の中でも「今は十二支でいうと何の刻かな?」と時々考えてみてください。

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