竹取物語「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり」本文・現代語訳|なよ竹のかぐや姫の誕生
高校古文/竹取物語
「翁、竹を取ること、久しくなりぬ」
「翁、竹を取ること、久しくなりぬ」
このページでは、『竹取物語』「翁、竹を取ること、久しくなりぬ」の古文本文と現代語訳を掲載し、
あわせて語句・文法のポイントや出題のねらい・読解のポイント、
復習チェックリストを整理します。
場面は、黄金の入った竹のおかげで富豪になった翁が、成長した少女に「なよ竹のかぐや姫」という名を付け、
三日三晩の盛大な命名の宴を開くシーンです。共通テスト国語(古文)や高校の定期テストでも頻出の作品で、
物語の流れ・語句の意味・平安貴族の文化をつかむのに最適な題材です。
リード文・このページの使い方
次のような目的で使える構成になっています。
- 古文本文と現代語訳を対照しながら、内容を一気に理解したい受験生
- 共通テストや定期テストに向けて、重要語句・文法表現を短時間で確認したい人
- 授業・講習で配布するプリントの素材として使いたい先生方
学習の進め方(おすすめ)
- まず古文本文を通読し、だいたいの場面イメージをつかむ。
- 現代語訳で意味を確認し、主語・人物の動きを整理する。
- 語句・文法・出題のねらいを押さえてから、もう一度本文を音読する。
文章『竹取物語』翁、竹を取ること、久しくなりぬ【本文】
古文本文【本文】
翁、竹を取ること、久しくなりぬ。いきほひ、猛の者になりにけり。この子いと大きになりぬれば、名を、御室戸斎部の秋田をよびて、つけさす。秋田、なよ竹のかぐや姫と、つけつ。このほど三日、うちあげ遊ぶ。よろづの遊びをぞしける。男はうけきらはずよびつどへて、いとかしこく遊ぶ。
『竹取物語』現代語訳
現代語訳【現代語訳】
翁は、(黄金の入った)竹を取ることが、長く続いた。(そのため)富豪になった。この子が大変大きくなったので、名前を御室戸斎部の秋田を呼んでつけさせる。秋田はなよ竹のかぐや姫とつけた。このとき、三日間というもの(命名式として)声を上げて歌を歌い、管弦を演奏した。さまざまな管弦の遊びをした。男は誰でも構わず呼び集めて、たいそう盛大に音楽を奏でて楽しむ。
語句・文法のポイント
語句のポイント
| 本文中の語句 | 意味・ニュアンス |
|---|---|
| いきほひ、猛の者になりにけり | 「いきほひ」=勢い・財力、「猛の者」=身分の高い有力者。 → 竹のおかげで、一介の翁が富豪・有力者になったことを示している。 |
| 御室戸斎部の秋田 | 神社に関係する氏族(斎部)の一人。 → 名付け役として招かれた人物であることがわかる。 |
| なよ竹のかぐや姫 | 「なよ竹」=しなやかでたおやかな竹。 → 美しくしなやかな竹のイメージと、「姫」の高貴さが合わさった名前。 |
| このほど三日、うちあげ遊ぶ | 「うちあげ」=声を上げる・賑やかに騒ぐこと。 → 三日間にわたって、歌や音楽で盛大に祝った様子を表す。 |
| よろづの遊びをぞしける | 「よろづ」=さまざま、いろいろ。 「遊び」=この場合は管弦の遊び(音楽・芸能)を指す。 |
| 男はうけきらはずよびつどへて | 「うけきらはず」=選り好みしないで、分け隔てなく。 → 身分や立場に関わらず、多くの男たちを招き入れた豪華さが伝わる。 |
| いとかしこく遊ぶ | 「かしこし」には「立派だ・盛大だ」という意味がある。 → とても立派で盛大な宴であったことを強調している。 |
文法・表現のポイント
- 〜なりぬ・〜なりにけり
「ぬ」「けり」はいずれも完了の助動詞。
「久しくなりぬ」=長く続くようになった(状態の成立)、
「猛の者になりにけり」=すっかり有力者になってしまった(変化の完了+過去)。 - つけさす・つけつ
「つけさす」=「名をつけさせる」のニュアンスを含む表現。
「つけつ」の「つ」は完了の助動詞で、「名付けたのだ」という語り手の確認・強調。 - ぞ〜ける(係り結び)
「よろづの遊びをぞしける」…係助詞「ぞ」による係り結びで、文末が連体形「ける」になっている。
「さまざまな遊びをしたのだよ」と、叙述に力点を置く働きがある。 - 物語らしい語り口
「〜なりにけり」「〜しける」など、回想的・叙述的な言い回しは、物語本文で状況説明+作者の視点を同時に示すサインになりやすい。
出題のねらい・読解のポイント
物語中での位置づけとテーマ
- かぐや姫の誕生から成長・求婚・昇天へと続く物語の中で、この場面は「命名」と「翁の富」が印象的に示される部分である。
- 富と名誉、そして「なよ竹のかぐや姫」という象徴的な名前を通して、かぐや姫の特別さ・超自然性が読者に印象づけられる。
共通テスト・定期テストで狙われやすい視点
- 語句の意味(いきほひ/猛の者/なよ竹/うちあげ/よろづ/うけきらはず/かしこく)。
- 翁が「富豪・有力者」となったことと、命名式の盛大さから読み取れる、当時の身分社会・祝宴文化についての理解。
- 短い場面の中で、かぐや姫がどれほど特別な存在として扱われているかを読ませる設問。
- 現代語訳問題では、誰の行動か(主語)を取り違えないことが重要。
本文をどう読み進めるか(実戦的な読み方)
- まず、「誰が」「何をしたか」を主語ごとに整理する(翁/秋田/男たち)。
- 名付け → 宴 → 参会者の広がり、という流れで、かぐや姫の特別さが段階的に強調されている構造に注目する。
- 「よろづの遊び」「うけきらはず」など、一語で場の空気やスケール感を表している語を中心に読む。
復習チェックリスト
内容理解チェック
- [ ] 翁が「いきほひ、猛の者」になった理由を、自分の言葉で説明できるか。
- [ ] 誰がかぐや姫の名付けを行い、どのような名前が付けられたか説明できるか。
- [ ] 三日間の宴がどのような様子だったか、本文の語句を使ってまとめられるか。
語句・文法チェック
- [ ] 「いきほひ」「猛の者」「なよ竹」「うちあげ」「よろづ」「うけきらはず」「かしこく」の意味を言えるか。
- [ ] 「〜なりぬ」「〜なりにけり」「〜しける」など、完了+過去のニュアンスを説明できるか。
- [ ] 「ぞ〜ける」のような係り結びに気づき、訳にどう反映するか意識できるか。
記述・現代語訳対策チェック
- [ ] この場面を3〜4行で要約してみたか。
- [ ] 現代語訳を、主語をはっきりさせつつ自然な日本語になるように自分の手で書き直してみたか。
- [ ] この短い箇所から読み取れる「かぐや姫の特別さ」を、本文の語句を引用しながら1〜2行で説明できるか。
『竹取物語』をきっかけに、古文読解をもう一歩深めたい人へ
このページでは、「翁、竹を取ること、久しくなりぬ」の場面を中心に、かぐや姫の命名と宴の描写を整理しました。
定期テストや共通テストを意識するなら、次のような単元とあわせて復習しておくと安心です。
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