『竹取物語』 翁、竹を取ること、久しくなりぬ。【本文・訳】
【本文】
翁、竹を取ること、久しくなりぬ。いきほひ、猛の者になりにけり。この子いと大きになりぬれば、名を、御室戸斎部の秋田をよびて、つけさす。秋田、なよ竹のかぐや姫と、つけつ。このほど三日、うちあげ遊ぶ。よろづの遊びをぞしける。男はうけきらはずよびつどへて、いとかしこく遊ぶ。
【現代語訳】
翁は、(黄金の入った)竹を取ることが、長く続いた。(そのため)富豪になった。この子が大変大きくなったので、名前を御室戸斎部の秋田を呼んでつけさせる。秋田はなよ竹のかぐや姫とつけた。このとき、三日間というもの(命名式として)声を上げて歌を歌い、管弦を演奏した。さまざまな管弦の遊びをした。男は誰でも構わず呼び集めて、たいそう盛大に音楽を奏でて楽しむ。