竹取物語「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり」本文・現代語訳|なよ竹のかぐや姫の誕生

高校古文/竹取物語
「翁、竹を取ること、久しくなりぬ」

このページでは、『竹取物語』「翁、竹を取ること、久しくなりぬ」の古文本文と現代語訳を掲載し、
あわせて語句・文法のポイント出題のねらい・読解のポイント
復習チェックリストを整理します。

場面は、黄金の入った竹のおかげで富豪になった翁が、成長した少女に「なよ竹のかぐや姫」という名を付け、
三日三晩の盛大な命名の宴を開くシーンです。共通テスト国語(古文)や高校の定期テストでも頻出の作品で、
物語の流れ・語句の意味・平安貴族の文化をつかむのに最適な題材です。

リード文・このページの使い方

次のような目的で使える構成になっています。

  • 古文本文と現代語訳を対照しながら、内容を一気に理解したい受験生
  • 共通テストや定期テストに向けて、重要語句・文法表現を短時間で確認したい人
  • 授業・講習で配布するプリントの素材として使いたい先生方

学習の進め方(おすすめ)

  1. まず古文本文を通読し、だいたいの場面イメージをつかむ。
  2. 現代語訳で意味を確認し、主語・人物の動きを整理する。
  3. 語句・文法・出題のねらいを押さえてから、もう一度本文を音読する。

重要語句の意味

このページでは、本文+現代語訳を対照しながら、語句(意味)・文法(助動詞/係り結び)・読解ポイントをまとめて確認できます。
まずは下の表で「語の意味」を即答し、本文に戻って主語と文法だけ押さえると、減点が減ります。

語句(原文) 意味(短く) 補足(文法・ニュアンス) 本文での役割
久しくなりぬ 長く続くようになった 「なり+ぬ(完了)」で状態が成立した感じ(〜になった) 翁が竹取りを続け、状況が変わった導入
いきほひ猛の者 勢い・財力/身分の高い有力者 「(有力者)になりにけり」は完了+過去ですっかり〜になった 翁の成り上がりと宴の規模の伏線
御室戸斎部の秋田 名付け役として呼ばれた人物 神社に関わる氏族(斎部)の一人、という設定を押さえる 「名を…呼びて、つけさす」=正式に名付けする場面
なよ竹のかぐや姫 しなやかでたおやかな竹の姫 「なよ竹」=美しくしなやかなイメージ+「姫」の高貴さ かぐや姫の特別さを象徴する名前
うちあげ遊ぶ 声を上げ、賑やかに祝う 宴の「にぎわい」を一語で出す(歌・管弦の方向へ) 三日間の祝宴の様子を圧縮して表現
よろづの遊び さまざまな遊び(主に管弦) この場面の「遊び」=音楽・芸能寄り 宴の種類の多さ(豪華さ)を示す
うけきらはず 選り好みせず、分け隔てなく 「誰でも構わず」のニュアンスで読める 参会者が広く集まる=富と権勢の誇示
かしこく 立派に/盛大に 「かしこし」系の語感=すごい・立派だ方向 宴が盛大であることの最終強調

本文に戻す3ステップ(迷わない)

  • ① まず上の表で語句の意味を即答し、場面(命名→宴)をつかむ
  • ② 助動詞(ぬ/けり/つ)と係り結び(ぞ〜ける)だけ機械的に拾う
  • ③ 主語(翁/秋田/男たち)を整理して、現代語訳→設問へ戻る

ミニFAQ(ここだけ押さえる)

Q. 「なりぬ」はどう訳す?(「〜になった/〜ようになった」)
基本は「〜になった」でOKです。前から続く状態が“成立した”感じなら「〜ようになった」が自然になることがあります(文脈で調整)。
Q. 「御室戸斎部の秋田」は誰?なぜ呼ぶ?
本文では「名を…呼びて、つけさす」の流れなので、秋田は名付け役として招かれた人物と押さえれば十分です(細部は本文の語句解説へ)。
Q. 「なよ竹」はどんなイメージ?テストでの聞かれ方は?
しなやかでたおやか」が核です。テストでは「なよ竹=何の比喩?」「名前に込めた意味は?」の形で、姫の特別さに結びつけて問われやすいです。

文章『竹取物語』翁、竹を取ること、久しくなりぬ【本文】

古文本文【本文】

翁、竹を取ること、久しくなりぬ。いきほひ、猛の者になりにけり。この子いと大きになりぬれば、名を、御室戸斎部の秋田をよびて、つけさす。秋田、なよ竹のかぐや姫と、つけつ。このほど三日、うちあげ遊ぶ。よろづの遊びをぞしける。男はうけきらはずよびつどへて、いとかしこく遊ぶ。

『竹取物語』現代語訳

現代語訳【現代語訳】

翁は、(黄金の入った)竹を取ることが、長く続いた。(そのため)富豪になった。この子が大変大きくなったので、名前を御室戸斎部の秋田を呼んでつけさせる。秋田はなよ竹のかぐや姫とつけた。このとき、三日間というもの(命名式として)声を上げて歌を歌い、管弦を演奏した。さまざまな管弦の遊びをした。男は誰でも構わず呼び集めて、たいそう盛大に音楽を奏でて楽しむ。

語句・文法のポイント

語句のポイント

本文中の語句 意味・ニュアンス
いきほひ、猛の者になりにけり 「いきほひ」=勢い・財力、「猛の者」=身分の高い有力者。
→ 竹のおかげで、一介の翁が富豪・有力者になったことを示している。
御室戸斎部の秋田 神社に関係する氏族(斎部)の一人。
名付け役として招かれた人物であることがわかる。
なよ竹のかぐや姫 「なよ竹」=しなやかでたおやかな竹。
→ 美しくしなやかな竹のイメージと、「姫」の高貴さが合わさった名前。
このほど三日、うちあげ遊ぶ 「うちあげ」=声を上げる・賑やかに騒ぐこと。
→ 三日間にわたって、歌や音楽で盛大に祝った様子を表す。
よろづの遊びをぞしける 「よろづ」=さまざま、いろいろ。
「遊び」=この場合は管弦の遊び(音楽・芸能)を指す。
男はうけきらはずよびつどへて 「うけきらはず」=選り好みしないで、分け隔てなく。
→ 身分や立場に関わらず、多くの男たちを招き入れた豪華さが伝わる。
いとかしこく遊ぶ 「かしこし」には「立派だ・盛大だ」という意味がある。
→ とても立派で盛大な宴であったことを強調している。

文法・表現のポイント

  • 〜なりぬ・〜なりにけり
    「ぬ」「けり」はいずれも完了の助動詞。
    「久しくなりぬ」=長く続くようになった(状態の成立)、
    「猛の者になりにけり」=すっかり有力者になってしまった(変化の完了+過去)。
  • つけさす・つけつ
    「つけさす」=「名をつけさせる」のニュアンスを含む表現。
    「つけつ」の「つ」は完了の助動詞で、「名付けたのだ」という語り手の確認・強調。
  • ぞ〜ける(係り結び)
    「よろづの遊びをぞしける」…係助詞「ぞ」による係り結びで、文末が連体形「ける」になっている。
    「さまざまな遊びをしたのだよ」と、叙述に力点を置く働きがある。
  • 物語らしい語り口
    「〜なりにけり」「〜しける」など、回想的・叙述的な言い回しは、物語本文で状況説明+作者の視点を同時に示すサインになりやすい。

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出題のねらい・読解のポイント

物語中での位置づけとテーマ

  • かぐや姫の誕生から成長・求婚・昇天へと続く物語の中で、この場面は「命名」と「翁の富」が印象的に示される部分である。
  • 富と名誉、そして「なよ竹のかぐや姫」という象徴的な名前を通して、かぐや姫の特別さ・超自然性が読者に印象づけられる。

共通テスト・定期テストで狙われやすい視点

  • 語句の意味(いきほひ/猛の者/なよ竹/うちあげ/よろづ/うけきらはず/かしこく)。
  • 翁が「富豪・有力者」となったことと、命名式の盛大さから読み取れる、当時の身分社会・祝宴文化についての理解。
  • 短い場面の中で、かぐや姫がどれほど特別な存在として扱われているかを読ませる設問。
  • 現代語訳問題では、誰の行動か(主語)を取り違えないことが重要。

本文をどう読み進めるか(実戦的な読み方)

  • まず、「誰が」「何をしたか」を主語ごとに整理する(翁/秋田/男たち)。
  • 名付け → 宴 → 参会者の広がり、という流れで、かぐや姫の特別さが段階的に強調されている構造に注目する。
  • 「よろづの遊び」「うけきらはず」など、一語で場の空気やスケール感を表している語を中心に読む。

復習チェックリスト

内容理解チェック

  • [ ] 翁が「いきほひ、猛の者」になった理由を、自分の言葉で説明できるか。
  • [ ] 誰がかぐや姫の名付けを行い、どのような名前が付けられたか説明できるか。
  • [ ] 三日間の宴がどのような様子だったか、本文の語句を使ってまとめられるか。

語句・文法チェック

  • [ ] 「いきほひ」「猛の者」「なよ竹」「うちあげ」「よろづ」「うけきらはず」「かしこく」の意味を言えるか。
  • [ ] 「〜なりぬ」「〜なりにけり」「〜しける」など、完了+過去のニュアンスを説明できるか。
  • [ ] 「ぞ〜ける」のような係り結びに気づき、訳にどう反映するか意識できるか。

記述・現代語訳対策チェック

  • [ ] この場面を3〜4行で要約してみたか。
  • [ ] 現代語訳を、主語をはっきりさせつつ自然な日本語になるように自分の手で書き直してみたか。
  • [ ] この短い箇所から読み取れる「かぐや姫の特別さ」を、本文の語句を引用しながら1〜2行で説明できるか。

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