漢文は一体どうやって勉強したらいい?
何から始めたらいい?
――今回は、「漢文は一体どうやって勉強したらいい?」です。
とかく漢文は簡単だ、漢文は満点取れる、漢文を頑張ろう!
みたいな事を言われる事があったりします。
とはいえどう頑張ればいいのか、という話があるようでないようで……みたいな所もあるかと思います。まず何から始めたらいいんでしょうか?
岡部:そもそも漢文は簡単なのか?という話からでしょうか。
漢文は古文から比べると随分簡単です。
私は国文科、日本文学科だったんですが、
高等学校の古文、あるいは大学入試古文と言ってもいいかも知れませんが、
それが一通り8割9割きちんと取れ、ちゃんと古文の文法を分かっていますという状態になれば、
はっきり言って大学に入って何か古文を読む上で新しい事を勉強しなければいけないという事はありません。
むしろ、くずし字の読み方であるとか、あるいは文学史的な何かもっと深い内容を勉強していくという事になる訳です。
ところが、漢文を大学入試でお勉強したから中国文学科にいって、
あるいは私の場合は日文でしたが日文で何か漢文を勉強しようと思った時に、
そういくかというとそんな事には全くならない訳です。入門にすらならないです。
大学入試漢文が要求しているレベルというのは、全然お話にならないレベルだという事です。
はっきり言えば、英語で言えばアルファベットが書けます、というレベルしか要求していません。
大学入試漢文の要求レベルは大変低いです。
ですから、やらなきゃいけない事というのがかなり少ないです。
限られていると言ってもいいかも知れません。
ですので、それを整理してお勉強していくという事が大事になるんですが、
いの一番に大事な事は、返り点が打てるあるいは返り点が打たれた順番通りに読む事が出来る、
という事です。
特に一二点とレ点が組み合わさっているとか、上下点とレ点が組み合わさっているとかというようなちょっと捻ったタイプ、そういったタイプの返り点は練習がいるかと思います。
そういったものはさっさと出来るようにしておきましょう。
また、句法です。
句法の問題集は再読文字から始まるかと思います。
再読文字、否定そして疑問、反語、抑揚、比較といったようなすでにグルーピングがされてあって、それをそれぞれの項目について大体10項目ぐらいの句法を覚えていくという事が大事になると思います。
句法だけ覚えてもそれはやっぱり長文が読めませんので、
大体多くの参考書というのはその句法をパート別に覚えたあとに、その句法が出題されている長文というのがまとめの形で出題されています。
多くの場合は次第の問題であったりあるいはセンターの問題だったりとかいうのが多いんですが、
そういったものを仕上げとしてちゃんと覚えているのか、本文中で出た時にこれはさっきやった否定あるいは二重否定の句法だ、さっきやったやつだ、と意識して解けるかという事が重要になるかと思います。
ですので、よく言われるのは夏休みに二週間ぱっと集中しちゃえば終わるよ、というのは
あながち間違ってはいないですが、結構あれはあれで集中力と一回覚えてもすぐ忘れちゃいますので、万人にお勧め出来る訳ではありません。
ですので、出来れば早いうちから句法をさっさと終わらせておくという事が
望ましいだろうと思います。
漢文の音読する必要性
――古文漢文というのでセットになっている事が多いという中で、
勉強法も果たしてセットなのか?まず一つ目に漢文は音読する意味ありますか?
岡部:漢文というのは割合に書き下し読み下しをする際というのが、
往々にしてリズミカルになっています。
読んでいて気持ちいいように読み下すように作ってあります。
なので、そのリズムを体得していくという事は実は大事です。
また、漢文というのはよく言われる事ですが、
二項対立で文章を進めていくという事が非常に多くなっているので、
その二項対立を意識しながら音読をするという事なんかはとっても大事になるのかなと思います。
漢文の単語を覚える必要性
――古文では、ある程度単語を覚える必要があるというお話でした。
漢文はどのように考えたらいいでしょうか?
岡部:漢文も実は重要語というのがあります。いわゆる漢文特有の語です。
朕と言ったら皇帝の一人称、妾と書いてしょうと言ったら女性の一人称、
孤独の孤と言ったら王様の一人称とか、そういう漢文に特有な語は覚えないと当然始まりません。
また、漢文というのは多くの場合思想史というか儒学や法家の思想というのが背景にある文章、
もしくはそのものが出題されたりもしますから、そういった思想のキーワードを覚える事も重要です。
また、漢文というのは多義語をたくさんもっています。
意外な多義語みたいなものっていうのは、決まったものが出題されます。
全部の問題集に整理されている訳ではないですが、
一部いい参考書は後ろに出題されやすい多義語とか、あるいは漢文重要語みたいな形で
大体20語から100語ぐらい教材によって整理されていますので、それはきちんと見ておくという事が大事になるかと思います。
――漢文を読み下した際に結局その文章は古文に近しい文、もしくは古文そのものだったりするという事ですが、その古文の知識が漢文に影響を与えるという事はありますか?
岡部:おっしゃる通りで、漢文というのは
古代の中国語を古代日本語で翻訳するというのが書き下し読み下しになります。
その書き下したもの読み下したものを現代語訳するものというのが現代語訳という事になる訳です。
ですので、ちょっと特殊な古典文法になるんですが、
古文でお勉強した助動詞であるとか、特に動詞であるとかといったものの活用や接続であるとかというものを覚えている、あるいは駆使出来るようになってないと漢文の訓読というのはちょっと難しい気がします。
ですので、助動詞までですかね?少なくとも古文の助動詞までは徹底した学習というのが必要になるだろうと思います。